非構造化データと構造化データの違いとは?初心者でもわかるデータ形式の基礎知識

非構造化データ アイキャッチ

「構造化データ」「非構造化データ」という言葉を聞いたことはありますか?実は、どちらも私たちの身近なところに存在していて、意識せずとも日常的に扱っています。たとえば、スマートフォンで撮った写真や、SNSに投稿された文章も「データ」の一種です。

それらがどのような形式で管理されているかを知ることで、より効率的にデータを扱えるようになるだけでなく、ビジネスシーンでは分析や意思決定のヒントにもつながります。この記事では、構造化データと非構造化データの違いをやさしく丁寧に解説し、それぞれの特徴や使われ方について丁寧に紹介していきます。

構造化データとは?

非構造化データと構造化データの違い①

規則性があり、整った形式のデータ

構造化データとは、決まった形式に従って整理されたデータのことを指します。もっとも代表的なのが「表形式のデータ」。たとえば、Excelのような表計算ソフトで扱う情報を思い浮かべてみてください。

行と列で構成されており、項目(列)には「名前」「年齢」「住所」などの見出しがあり、それに対応する値が縦に並んでいます。すべてのデータが同じルールで並んでいるので、コンピュータが簡単に読み取り、処理できるという特長があります。

このように、構造化データは人間にとっても機械にとっても、扱いやすいというメリットがあります。

データベースでの利用が一般的

構造化データは、主に「リレーショナルデータベース」と呼ばれる仕組みの中で使われています。企業の売上管理や顧客情報、在庫の記録など、数値や文字列として厳密に管理すべき情報は、この構造化データとして保存されることが多いのです。

たとえば、ある会社の「顧客管理システム」では、顧客の名前・年齢・購入履歴などが、表形式でデータベースに格納されており、必要に応じて検索・分析ができるようになっています。

こうしたデータは、決まった枠に情報が収まっているため、検索・集計・レポート作成といった処理にとても適しているのです。

非構造化データとは?

非構造化データと構造化データの違い②

規則性がない自由な形式のデータ

非構造化データとは、構造化データのように決まった枠組みがなく、一定のルールに従って整理されていないデータのことを指します。簡単に言えば、「バラバラな形のまま存在している情報」というイメージです。

たとえば、メールの本文、SNSの投稿、音声ファイル、動画、画像、さらにはPDFやWordの文書なども非構造化データに含まれます。これらのデータは、内容に一貫した形式がなく、人によって書き方や表現が違うため、コンピュータが自動的に処理するのが難しくなります。

とはいえ、非構造化データは「活用できないデータ」ではありません。むしろ、そこには豊富な情報が詰まっていて、活用できれば非常に大きな価値を生み出します。

身近な例に見る非構造化データ

日常生活の中にも、非構造化データはあふれています。たとえば、写真の場合、写っている人物や背景、色彩、雰囲気など多くの情報が含まれていますが、それらは「画像ファイル」という形で保存されるだけで、特定の項目ごとに分けられているわけではありません。

同じように、文章や音声にも意味や感情といった情報が込められていますが、それを取り出すには人間の理解や、高度なAIによる解析が必要になります。

非構造化データは、扱いが難しい反面、工夫次第で深い洞察を得られる素材でもあるのです。

構造化データと非構造化データの違い

非構造化データと構造化データの違い③

表形式と非表形式という大きな違い

構造化データと非構造化データのもっとも大きな違いは、「形式が決まっているかどうか」という点です。

構造化データは、あらかじめ決められた枠組みに沿って情報が整理されています。表形式のデータベースに収まっているため、項目ごとに内容を区切ることができ、検索や抽出、集計といった操作がしやすいのが特長です。

一方、非構造化データは、そうした枠組みを持っていません。たとえば、ある企業が保有する顧客からの問い合わせメールを考えてみましょう。文章の長さや書き方はバラバラで、同じ内容を表現していても言葉の選び方は人それぞれです。こうしたデータは表形式への変換が難しく、規則性を見出すのに高度な処理や工夫が必要です。

このように、形式の有無が、両者を分ける大きなポイントとなっています。

処理のしやすさと応用範囲の違い

構造化データは、処理のしやすさが最大の強みです。データベースに格納された情報は、SQL(Structured Query Language)などを使って自由に操作できます。統計分析やグラフの作成もスムーズに行えるため、ビジネスレポートや管理業務との相性が非常に良いのです。

一方で、非構造化データは、単純な分析には向きません。必要な情報を取り出すには、自然言語処理や画像認識などの技術が必要とされることが多く、扱うには一定の技術力が必要です。

とはいえ、非構造化データには「そのままでは見えにくい価値」が潜んでいます。たとえば、SNSの投稿内容を解析して顧客の感情や意見を読み取ったり、音声データから顧客満足度を推定したりといった高度な活用も可能です。

このように、構造化データと非構造化データは、それぞれ得意な分野が異なります。どちらが優れているというよりも、「目的に応じて使い分ける」ことが重要です。

半構造化データという第三の形式

非構造化データと構造化データの違い④

両者の中間にあたる柔軟な形式

構造化データと非構造化データの中間に位置する存在として、「半構造化データ」という形式もあります。これは、一部規則性があるものの、完全に決まった枠に収まっていないデータのことです。

たとえば、「ある程度のラベルやタグが付けられていて、意味づけはされているが、内容全体が表の形になっているわけではない」といったものがこれにあたります。

この半構造化データは、柔軟性の高さが特長です。構造化データのように扱いやすさをある程度保ちながら、非構造化データが持つ豊富な情報量にも対応できるため、現代のデータ処理において非常に重要な存在となっています。

JSONやXMLが代表例

半構造化データの代表的な例としてよく挙げられるのが「JSON(JavaScript Object Notation)」や「XML(Extensible Markup Language)」というデータ形式です。これらは、ウェブサービスやアプリケーションの間でデータをやり取りする際に頻繁に使われており、一見するとただの文字の羅列のようですが、きちんと意味のある構造を持っています。

たとえばJSONの場合、項目名(キー)と内容(バリュー)がセットになっていて、ある程度のルールに従って整理されています。そのため、システム間でのやり取りやデータの一括処理がしやすくなっています。

XMLも同様に、タグで情報の意味を示す構造を持っており、読み手やシステムが情報を理解しやすいよう工夫されています。

このように、半構造化データは「情報の意味を持たせつつ、柔軟に記述できる」という点で、現代のデータ活用において欠かせない形式の一つといえるでしょう。

それぞれのデータ形式が活用されるシーン

非構造化データと構造化データの違い⑤

「構造化データ」が向いているシーン

構造化データは、「数値や項目が明確で、繰り返し集計・分析される情報」に非常に向いています。たとえば、以下のような場面で広く活用されています。

  • 売上や在庫の管理
  • 顧客情報の登録・検索
  • 従業員の勤怠記録や給与計算
  • 病院の診療記録や保険情報の管理

これらの情報は、項目ごとに明確に区切られており、過去のデータと比較することも容易です。企業活動におけるルーチン業務や経営判断の基礎となる情報は、構造化データで管理されることが多い傾向にあります。

また、構造化データはBIツールやダッシュボードと連携しやすく、グラフや表での可視化にも適しています。

「非構造化データ」が活躍するシーン

一方で、非構造化データは「形のない情報」の中にある価値を引き出したいときに力を発揮します。

たとえば、

  • SNSの投稿内容を分析して、トレンドを把握する
  • 顧客からの問い合わせメールを分析し、よくある質問を可視化する
  • コールセンターの音声記録から、顧客満足度や感情を分析する
  • 製品レビューから、商品に対するリアルな評価を抽出する

このような場面では、非構造化データの中に含まれる言葉や音声、画像の意味を解析し、潜在的なニーズや課題を読み解くことが求められます。

AIや機械学習の技術が進化したことで、非構造化データの活用範囲は急速に広がっています。今では企業のマーケティングや商品開発、顧客対応の分野でも積極的に取り入れられています。

「半構造化データ」が活躍するシーン

構造化データと非構造化データの中間的な柔軟性を持っている半構造化データは、近年のデータ連携・クラウド環境では最も利用頻度が高い形式とも言えます。

  • Web APIなどでやり取りされるJSON・XML
  • サーバーのアクセスログやアプリログ
  • IoTデバイスが送るセンサーデータ
  • クラウドサービス間の設定情報やイベントログ
  • BigQueryやSnowflakeでのJSON分析


異なるシステム同士でデータを受け渡す際に扱いやすく、柔軟な構造であることから、開発現場でも運用現場でも重宝されます。

上記のように、3種類のデータ形式にはそれぞれ得意な領域があり、目的に応じて使い分けることで効果的なデータ活用が可能になります。

データの形式を見極めて活用しよう

データの性質に応じたアプローチが重要

構造化データ、非構造化データ、そして半構造化データ。それぞれの形式には特徴があり、得意とする分野も異なります。だからこそ、「どんなデータを扱っているのか」「どのような目的で使いたいのか」を見極めることが、適切なデータ活用の第一歩です。

売上の推移を見て経営判断を下したい場合は、構造化データが最適です。数字が整っていれば、すぐにグラフや表で可視化でき、トレンドの把握もスムーズに進みます。

一方で、顧客の声を細かく分析してサービス改善に役立てたいときは、非構造化データがカギとなります。言葉や感情の裏に隠れた本音を見つけ出すことで、これまで見えていなかった課題やニーズに気づけるかもしれません。

そして、データ形式が完全にどちらか一方に偏るとは限りません。現実には、構造化と非構造化の要素が混ざった半構造化データを扱う場面も多くあります。柔軟なデータ形式を上手に使いこなすことで、より幅広い情報を取り入れ、分析の精度を高めることができるのです。

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