
プレスリリース
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〜事務職においては4人に1人がセキュリティに不安を抱える〜
企業のDXを促進するアルサーガパートナーズ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役会長兼CTO:小俣泰明、代表取締役CEO:渡邉純平、以下「アルサーガパートナーズ」)は、全国の不動産業界で働くビジネスパーソン計212名を対象に、生成AIの活用状況について調査を実施し、分析しました。
本調査では、生成AIの活用実態や業務効率の実感、活用していない理由、職種ごとの意識差、不安に感じている点などを幅広く分析しました。その結果、活用しているとの答えが4割に留まる一方で、関心すら持っていない層も約4割という二極化や、営業職と事務職のあいだで“期待と不安”が大きく分かれている実態が明らかになりました。
目次
調査機関:自社調査
調査方法:インターネットによるアンケート調査
調査期間:2025年7月22日〜7月29日
調査対象:全国の不動産業界で働くビジネスパーソン
有効回答:212名
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
▼関連調査リリース
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「現在、あなたの業務の中でどの程度生成AIを活用していますか?」という問いに対し、以下のような回答が得られました。
・積極的に活用している:9.0%
・一部で活用している :24.6%
・試験的に導入している:7.1%
・まだ活用していないが、関心はある:19.4%
・全く活用もしていないし、関心もない:39.8%
「積極的に活用している」「一部で活用している」「試験的に導入している」層を合計すると、約4割(40.7%)がすでに何らかの形で業務に生成AIを取り入れていることがわかります。
一方で、「全く活用していないし、関心もない」と回答した層も約4割(39.8%)とほぼ同水準にあり、不動産業界全体として生成AIの活用が進んでいる人と、まだこれからの人とが二極化している現状が浮き彫りになりました。
職種別に、生成AIの活用状況にどのような差があるのかを調べてみました。回答数の多かった営業職(n=72)と事務職(n=98)について比較したところ、それぞれ以下のような傾向が見られました。
【営業】
・積極的に活用している:18.1%
・一部で活用している :20.8%
・試験的に導入している:11.1%
・まだ活用していないが、関心はある:18.1%
・全く活用もしていないし、関心もない:31.9%
【事務】
・積極的に活用している:4.1%
・一部で活用している :26.5%
・試験的に導入している:3.1%
・まだ活用していないが、関心はある:18.4%
・全く活用もしていないし、関心もない:48.0%
この結果から、営業職の5割の活用が進んでおり、事務職では「活用していない」層が約7割と高い水準にあることがわかります。
※以降、複数回答の設問については各項目の合計が100%を超えるため、数値は回答者全体に対する回答率(pt)で示します。
生成AIを実際に業務で活用している人に対し、「具体的にどのような業務で生成AIを活用していますか?」と尋ねたところ、以下のような結果となりました。
・文章作成・要約:64.0pt
・アイデア出し・ブレインストーミングの補助:36.0pt
・データ分析・予測:33.7pt
・記事コンテンツ作成:18.6pt
・翻訳・多言語対応:15.1pt
・画像・動画生成・編集の補助:15.1pt
・顧客対応の自動化・効率化:14.0pt
・プログラミング・コーディングの補助:11.6pt
・社内コミュニケーションの効率化:8.1pt
回答の多かった「文章作成・要約」や「アイデア出し」に加え、「データ分析」「画像・動画生成」などクリエイティブ業務から定量分析領域まで、活用範囲の広さがうかがえます。
不動産業務においては、営業資料の作成、契約書の文案、問い合わせ対応、社内報告文の下書きなど、言語ベースの業務が数多く存在します。こうした領域で生成AIを活用することで、作業時間の短縮や表現の最適化、提案精度の向上など、業務効率化の効果を感じている人が多いと推察されます。
全回答者を対象に、生成AIの業務活用に関して「今後、どのような点に期待しているか」を尋ねたところ、以下のような結果が得られました。
生成AIの活用が進んでいない層も一定数いる一方で、すでに導入・活用を始めている人々の中には、その有用性を強く実感しているケースも見られます。活用を進めている回答者に対し、「生成AIを活用することで、業務効率は向上しましたか?」と尋ねたところ、以下のような結果となりました。
・非常に向上した:17.4%
・ある程度向上した:67.4%
・あまり向上しなかった:5.8%
・全く向上しなかった:2.3%
この結果から、実際に活用した人の84.8%が“業務効率の向上を実感している”ことが明らかになりました。活用している層は4割にとどまるものの、一度使えばその有用性を実感しやすいことが示されています。
生成AIを「全く活用していないし、関心もない」と回答した人に対してその理由を尋ねたところ、以下のような結果となりました。
・具体的な活用方法がわからない:42.9pt
・導入するための知識やスキルがない:27.4pt
・既存システムとの連携が難しい:25.0pt
・セキュリティに不安がある:17.9pt
・費用対効果が不明:13.1pt
・導入するための時間やリソースがない:11.9pt
最も多かったのは「具体的な活用方法がわからない」で、半数近くが “どう使えばいいのか”という段階で立ち止まっていることがわかります。
また、「知識・スキル不足」「既存システムとの連携」「セキュリティの不安」など、導入初期に必要な準備や体制構築の負荷も、活用を妨げる要因となっているようです。
生成AIへの関心がない理由を職種別に比較したところ、営業職と事務職の間で部分的に違いが見られました。
なかでも大きな差が出たのは「セキュリティに不安がある」という項目です。営業職では0.0ptだったのに対し、事務職では4人に1人(25.5pt)が不安を抱いている結果となりました。
不動産業界では、クライアントとの高額な資金のやりとりや、専門性の高い契約書・個人情報などを日常的に扱うため、情報の取り扱いに対する意識が非常に高い業界です。特に事務職は、こうした重要情報に直接触れる機会が多く、生成AIツールの導入による情報流出リスクを懸念していると考えられます。
一方で営業職は、提案資料や接客応対の下書き作成など、アウトプット支援の用途で生成AIを活用しやすい業務特性があり、導入へのハードルが比較的低いと言えるでしょう。
生成AIに対して不安に感じていることについて尋ねたところ、以下のような結果となりました。
・セキュリティや情報漏洩が心配:17.1pt
・情報の正確性や信頼性が不安:15.2pt
・社内での利用ルールが整っていない:11.8pt
・社員の思考力・スキルが下がるのではないか不安:11.4pt
・自分の業務が将来なくなるのではないか不安:10.0pt
・社内で活用できる人が少なく、定着しなさそう:7.6pt
生成AIに対しては、情報漏洩リスクや誤情報の出力、ルール未整備といった基本的な懸念が根強いことがわかります。また、「スキルが低下するのでは」「業務が奪われるのでは」といった心理的な不安も一定数存在しています。
期待の声が圧倒的に多いものの、生成AIの活用を今後さらに広げていくためには、こうした不安の声に真摯に向き合い、国内外における様々な法律や規制にキャッチアップしながら、社内ガイドラインの整備、セキュリティポリシーの明確化、教育・研修体制の強化といった基盤づくりが欠かせません。期待される“効率化”や“創造性の向上”を実現するためにも、安心して使える環境づくりがカギを握ると言えるでしょう。
アルサーガパートナーズ株式会社
コンサルタント シニアマネージャー 窪田 俊介
不動産業界における生成AI活用は進展しつつありますが、その「使われ方」には大きな偏りがあります。たとえば、ある企業では、事務・企画系部門ではツール利用率が40%を超える一方、営業組織では15%前後にとどまるケースも見られます。また、上位8%の社員が全プロンプト実行の50%以上を占めていたというデータもあり、生成AIを“使っている人”と“使いこなしている人”の間には、まだ大きなギャップが存在しているのが実情です。
不動産業界は今後、人手不足が深刻化していくことがほぼ確実視されており、既存サービスの維持・拡大や新サービス創出のためには、生成AIの力をどう取り込むかが問われています。現在、多くの企業が業務効率化に軸足を置きながら、社内共通業務や個別業務の最適化に取り組んでおり、一部では人手に頼らない新サービスの検討も始まっています。
こうした流れの中で、不動産業界の社員においては、生成AIを単に活用するだけでなく、“使いこなせること”が今後より一層求められていくと考えられます。業務に活かしているかどうかというレベルを超え、「生成AIを活用しているからこそ、これだけのサービスレベル・価格が実現できる」と、現場担当者が顧客や関係者に対して明確に説明できることが、次の理想像となりつつあります。
しかし、そのための第一歩となる教育施策、たとえば全社員向けのセミナーやウェビナーが必ずしも効果的でないという声も多く聞かれます。教育内容が現場の実務とつながっていないため、「何ができるか」「どう効率化されるのか」が自分ごととして捉えられないという現場の声が背景にあります。
このような状況では、IT・DX部門が用意したツールやマニュアルと、現場の実務との間に“溝”が生まれがちです。実際に、営業担当者からは「自分の業務でどう使うかがわからない。もっと寄り添ってほしい」という声が上がっています。
今回の調査で多く見られた「具体的な活用方法がわからない」という回答は、単なるツールの使い方がわからないのではなく、“現場業務に本当にフィットする活用イメージが持てていない”ことに起因していると捉える必要があります。
また、社内定着を進めるうえで特に重要なのが、ミドルマネジメント層への働きかけです。課長・リーダークラスが目的や活用方針を正しく理解し、現場スタッフに具体的な展開ができることが、生成AIを「使われる仕組み」に変えていく鍵となるでしょう。
・生成AIの業務活用率は約4割。未活用・無関心層も同程度存在し、業界全体では二極化
不動産業界における生成AIの活用率は、「積極的に活用」「一部で活用」「試験的に導入」を合わせて40.7%。一方、「全く活用していないし、関心もない」と答えた層も39.8%にのぼり、現場での導入状況には二極化が見られた。
・事務職ではセキュリティへの不安が強く、活用が進みにくい傾向
職種別に見ると、営業職では活用が比較的進んでいるのに対し、事務職では「セキュリティに不安がある」とする声が25.5ptと高く、慎重な姿勢が目立った。
・活用領域は、物件紹介文からデータ分析まで幅広く拡大
文章作成・要約が最多だった一方で、「物件説明文のたたき台」「契約書の下書き」「おとり物件の検出」「エリア情報の自動生成」など、実務に密着した用途での活用も進んでおり、不動産業務の多様な現場に浸透しつつある。
・今後の期待は、業務効率だけでなく、創造性やスキル向上にも広がる
「業務効率の向上」が最多(45.5pt)だった一方で、「企画の質の向上」「スキルアップ」「新しい価値創出」など、知的生産性の強化や自己成長への期待も寄せられた。生成AIは単なる補助ツールから、個人と組織の力を高める存在として期待され始めている。
・活用者の約85%が「業務効率が向上した」と実感
生成AIを活用している層のうち、84.8%が「非常に向上した」「ある程度向上した」と回答。特に文章作成や情報整理といった業務において、スピードと精度の両面で効果を実感している様子がうかがえる。
・非活用層の約5割が「使い方がわからない」と回答
「関心がない」と回答した層のうち、42.9ptが「具体的な活用方法がわからない」と回答。業務での使い方がイメージしにくいことが、活用を妨げる要因になっている可能性が高い。
▼関連調査リリース
・【業界別・生成AI活用実態調査】業務での活用率は全体で3割未満。最も活用率が高いのは「情報通信」、次いで「小売」
・【生成AI活用実態調査|製造業編】活用者の約9割が業務効率の向上を実感。未活用の理由は「使い方がわからない」
・【生成AI活用実態調査|教育業編】「AIで業務がラクになった」教員は3割未満。便利なはずのAIが新たな業務を生む側面も
生成AIは、不動産業界においても着実に活用が進み始めています。しかし一方で、「具体的な使い方がわからない」「セキュリティが不安」といった声や、職種による活用の偏りなど、普及を妨げる課題も明らかになりました。
こうした状況を踏まえ、不動産業界における生成AI活用の拡がりには、業務フローに即した導入設計・教育体制・社内ルール整備といった“実践的な支援”が欠かせない段階に入っていると考えられます。
生成AIの効果を実感する声がある一方で、現場に根づかせるためには「使い方の可視化」と「不安の解消」が鍵となりそうです。
アルサーガパートナーズは、創業以来、数多くの不動産業界のDX支援実績を通じて、営業支援システムや契約書管理、顧客対応のデジタル化など、現場に根ざした課題解決に取り組んできました。今回の調査結果を受けて、今後は生成AIの導入・活用に関する支援もさらに強化し、業界特有の不安や障壁に寄り添いながら、現場で安心して使えるAI環境の構築を後押ししてまいります。
アルサーガパートナーズは今後も、企業や社会全体のデジタル変革を支える伴走者として、調査・提言と実践的なコンサルティングを通じ、生成AIの適切かつ有効な活用を現場に根づかせていく支援を続けてまいります。
▼AI関連の制作実績
不動産:
・東急リバブル×アルサーガパートナーズ 生成AIを組み込んだSNS投稿文章作成システムを独自開発
教育:
・アルサーガパートナーズ、千代田区立九段中等教育学校が導入する 校内生成AI「otomotto」を開発支援
・Yui Connectionとアルサーガパートナーズ、教員の生徒所見作成をAIで支援する「EduCopilot」をリリース
医療:
・【医療現場で本格導入】慶應義塾大学病院とアルサーガパートナーズ、 生成AIを活用した「退院サマリ作成支援AI」システムを共同開発
ご興味のある企業様は、こちらよりアルサーガパートナーズまでご連絡ください。
問い合わせフォーム:https://www.arsaga.jp/contact/
■アルサーガパートナーズ株式会社 について
アルサーガパートナーズは、成長し続ける流行の発信地“渋谷”に拠点を置く総合ファームです。「日本のDXを世界で誇れる産業へ」をビジョンに掲げ、DXサービスをワンストップで提供するため、コンサルティングからシステム開発、保守・運用までの体制を整えています。「最高品質を最速で」をスローガンに掲げ、お客さまに寄り添いながらビジネスの成功をより確実なものへと導きます。
本社 :東京都渋谷区桜丘町1番1号 渋谷サクラステージSHIBUYAタワー18階
熊本支社
新市街オフィス:熊本県熊本市中央区新市街8番7 TERRACE87ビル2F
平成オフィス :熊本県熊本市南区江越2丁目24-1
福岡支社 :福岡県福岡市中央区天神一丁目10番20号 天神ビジネスセンター7階
代表者 :代表取締役会長兼CTO 小俣泰明、代表取締役CEO 渡邉純平
設立日 :2016年1月
資本金 :14億3,470万円(資本準備金等を含む)
従業員数 :414名(2025年9月末時点)
事業内容 :ワンストップDXソリューション事業
HP :https://www.arsaga.jp