データエンジニアとは?仕事内容から年収、将来性までを完全網羅

今、IT業界の中で最も市場価値が高まっている職種の一つをご存じでしょうか? それが、今回解説するデータエンジニアです。
AIやビッグデータの活用が当たり前になった現代において、データエンジニアへのオファーは絶えることがなく、平均年収も他のエンジニア職と比較して高水準で推移しています。データエンジニアと聞くと「難しそう」というイメージがあるかもしれませんが、実は非常に論理的で、ものづくりの面白さが詰まった職業でもあります。
本記事では、データエンジニアがなぜ今これほど求められているのか、その仕事内容からスキル、そして気になる年収の実態まで、未経験の方にも分かるよう噛み砕いて解説します。将来を見据えたキャリア選びの参考に、ぜひお役立てください。
データエンジニアとは?

データを「使える状態」にする専門職
データエンジニアとは、企業が持つ膨大なデータを「分析・活用しやすい形に整える」技術職です。 たとえば、企業が戦略を立てるためにデータを使おうとしても、集めたばかりのデータ形式がバラバラだったり、欠損があったりしては使い物になりません。
そこでデータエンジニアが、必要な情報を抽出・整形し、データサイエンティストやアナリストがスムーズに使える状態にして提供します。いわば、データという材料を「調理しやすく整える料理人」のような縁の下の力持ちと言える存在です。
データサイエンティストとの違い
よく混同されますが、役割は明確に異なります。先ほどの「料理」の例えを使うなら、両者の関係は次のようになります。
- データエンジニア:データの取得・加工・管理を行う(料理の下ごしらえ)
- データサイエンティスト:整ったデータを分析し、課題解決の提案を行う(調理・味付け)
データエンジニアが良い下ごしらえをして初めて、データサイエンティストは美味しい料理を作ること(高度な分析)ができます。両者は対立するものではなく、協力し合うパートナーの関係なのです。
データエンジニアの主な仕事内容
データの収集と加工
データエンジニアの仕事の出発点は、「必要なデータを集めること」です。ここで扱うデータは、社内システムのログ情報やユーザーの行動履歴、取引記録、外部APIから取得するデータなど多岐にわたります。
形式のバラつきや欠損値などもあるため、ただ集めるだけではなく、分析しやすい形に「加工」する作業が必要になります。たとえば、日付のフォーマットを統一したり、不要な空白や記号を取り除いたりといった処理です。このような前処理があるからこそ、後工程の分析がスムーズに行えるようになります。
データパイプラインの構築
データは一度取得すれば終わりではありません。日々更新されるため、「継続的にデータを流す仕組み=データパイプライン」の構築が重要です。
パイプラインとは、複数の処理を順番に自動で流す仕組みのこと。たとえば、1日1回決まった時間にデータを取得し、整形して保存する流れを自動化することで、毎回手動で処理をする必要がなくなります。
データパイプラインの設計には、信頼性・保守性・拡張性が求められます。処理の途中でエラーが出たときに自動で通知が飛ぶようにしたり、再実行がしやすい構成にしたりと、細かな設計が成功のカギを握ります。
データベースやデータウェアハウスの運用管理
整えたデータを保存するためには、適切な「器」が必要です。データエンジニアは、データベース(DB)やデータウェアハウス(DWH)の設計・運用も担います。
データベースは、小規模かつ即時性の高いデータの保存に適しています。一方でデータウェアハウスは、大量の履歴データを蓄積して分析に使う目的で設計されます。使い分けることで、データの特性に合った効率的な運用が可能になります。
また、保存形式やテーブル構成といった「スキーマ設計」も、データエンジニアの重要な仕事のひとつです。
他職種との連携(データアナリストや開発者など)
データエンジニアは、単独で作業することは少なく、多くの場面で他の職種と連携します。
たとえば、データアナリストやデータサイエンティストと協力して「どんなデータが必要か」を確認したり、システムエンジニアと連携してシステムへの組み込み方を検討したりすることがあります。ときには、マーケティング担当者や経営層と会話する場面もあるかもしれません。
技術力だけでなく、チーム内での円滑なコミュニケーションや他者の意図を汲み取る力も問われる仕事です。
データエンジニアに求められるスキル

必須のスキル
- プログラミング言語
データの抽出・加工に必須です。中でもよく使われるのが、PythonとSQLです。特にSQLはデータベースから情報を抽出・集計するため、日常的に使用します。 - クラウドの知識
現代のデータ基盤はクラウド上での作成が主流です。AWS(Amazon Web Services)、GCP(Google Cloud Platform)、Microsoft Azureなどが代表的です。各サービスの役割を理解する必要があります。 - ETL*ツールの知識
データを抽出・変換・格納するツール(Apache Airflowなど)の操作スキルも求められます。
*ETL(Extract, Transform, Load):複数のデータソースからデータを「抽出し(Extract)」、利用しやすい形式に「変換(Transform)」し、データウェアハウス(DWH)やデータレイクなどに「格納(Load)」するデータ統合プロセスです。
どんな人が向いている?データエンジニアの適性
細かい作業が得意な人
データエンジニアの仕事は、地道な作業の積み重ねです。データの整形やエラーの原因追及、スクリプトの微調整など、一見すると「目立たない仕事」に思える場面も多くあります。
しかし、この細かさこそが、チームの信頼を得る上で大きな武器になります。たとえば、数百万件のデータのうち、数行にだけ発生している不整合を見つけて修正できるかどうかが大切です。ちょっとした変化に気づく「観察力」と、根気よく検証を重ねられる「粘り強さ」が試されます。
細かな作業を「面倒だ」と感じるより、「整えることが楽しい」と感じられる人には、非常に向いている仕事だと言えるでしょう。
データや数字に興味がある人
どれだけスキルがあっても、「データを見るのが苦手」「数字に興味がわかない」というタイプでは、モチベーションの維持が難しくなりがちです。
逆に、「データから何かを読み取るのが面白い」「数字の傾向を見るとワクワクする」と感じる人にとっては、日々の業務が発見の連続になります。
データエンジニアは分析を直接担当する職種ではないものの、自分が整えたデータがビジネスの意思決定に活用されたり、サービス改善につながったりすることに、大きなやりがいを感じられるはずです。
チームでのやり取りを大切にできる人
意外に思われるかもしれませんが、データエンジニアは「人と話す機会」が多い職種です。分析担当者からの依頼を聞き取って仕様を決めたり、他のエンジニアと連携してシステムを構築したりとチームプレイの連続です。
自分一人で黙々と作業するだけでなく、相手の意図をくみ取り、わかりやすく説明し、必要に応じて折衷案を考える。そうしたコミュニケーション力が、結果としてプロジェクト全体の成功につながります。
「技術力」と「対話力」、どちらもバランスよく磨いていきたい人にとっては、非常に相性の良い職種かもしれません。
データエンジニアになるには?学び方とキャリアステップ
未経験から目指す方法
データエンジニアは専門性の高い職種ではありますが、未経験から目指すことも可能です。実際、他業種からIT業界に転職し、数年かけてデータエンジニアとして活躍している人も少なくありません。
まずは、ITの基礎知識から身につけていきましょう。ネットワークやデータベースの基本、Linuxの操作など、インフラまわりの理解があると、後々の学習がスムーズになります。そのうえで、SQLやPythonといった言語を習得し、データ処理の基本的な流れを身につけていきます。
未経験の場合、「最初から理想のポジションに就こう」とするよりも、ITサポートや社内SE、データアナリスト補助など、比較的入りやすい職種からキャリアをスタートし、少しずつ経験を積み上げていくのがおすすめです。
おすすめの学習リソース(書籍・オンライン講座など)
独学でデータエンジニアを目指す上で、以下のような教材や学習サービスが役立ちます。
書籍
- 『初めてのSQL』(O’Reilly)
- 『Pythonではじめるデータラングリング』(O’Reilly)
- 『データエンジニアリングの基礎』(O’Reilly)
オンライン講座
- Udemy(SQL入門、Airflowの使い方、ETLパイプライン構築など)
- Progate(初心者向けのプログラミング入門)
- Coursera・edX(海外大学提供の本格的な講座)
学んだ知識を「実践の中で使う」ことが重要なので、小さなデータ分析プロジェクトを自分で組んでみる、ポートフォリオとしてGitHubにコードを公開することなども効果的です。
キャリアパスの例
データエンジニアのキャリアは、多様な方向に広がっています。以下はその一例です。
| キャリア | 内容 |
| 初級データエンジニア | データ取得や整形など、基本的なETL処理を中心に担当。SQLやPythonが主なツールとなります。 |
| 中級〜上級データエンジニア | データ基盤全体の設計や、パイプラインの自動化、クラウド環境での最適化など、より高度なスキルが求められます。 |
| データアーキテクト/リードエンジニア | チーム全体の技術選定や設計を担うポジション。開発とマネジメントの両面が求められる役割です。 |
| データマネージャー/CTO | さらに経験を積むと、組織のデータ戦略を主導する立場に進むことも。経営視点やビジネス戦略への理解が必要になります。 |
このように、技術職としてスキルを深めるエキスパートの道だけでなく、チームをまとめるマネジメント側へのステップアップも可能です。自分の得意や志向に合わせたキャリア設計がしやすい点も、データエンジニアという仕事の魅力の一つです。
データエンジニアの年収と将来性

データエンジニアの年収(国内・海外)
データエンジニアという職業は、スキルの専門性と市場価値の高さから、相対的に高い報酬が期待できる仕事です。日本国内での年収水準を見ると、平均として約530〜630万円程度 といったデータが複数の調査で報告されています。
たとえば、厚生労働省系の職業情報サイト(job tag)によると平均年収は約629万円であり、一般的なエンジニアと比較してやや高めの傾向が見られます。年齢や経験が上がると年収も上昇し、30代以降は700万円を超えるケースも多いようです。
また、海外、特に北米ではデータエンジニアの給与水準はさらに高く、平均で約109,000〜161,000ドル(約1,600万〜2,500万円前後) とされており、経験や勤務地に応じて上昇します。高度なスキルが求められる大都市圏やテック企業ではさらに高い報酬が提示されるケースもあります。
出典:Dataquest(2024/2025版)/Glassdoorデータより
データエンジニア需要の伸び
データエンジニアの将来性は非常に高いと考えられています。企業のDXが進むなか、日々生成されるデータは爆発的に増加しており、そのデータを活用可能な形で取り扱う専門職へのニーズが強まっています。
実際、企業がデータ活用を戦略的に進める段階では、データパイプライン構築やビッグデータ基盤の整備が必要不可欠です。これらを担うデータエンジニアの価値は、今後もしばらく高水準で推移する見込みです。
世界的なデータエンジニアの求人動向でも、20%を超える成長(職種の求人増加)が予測されており、特にクラウドやAI・機械学習などの専門性を掛け合わせられる人材は、より高い需要が集まると言われています。
データエンジニアという選択肢
データエンジニアとは、データを活用するための「基盤づくり」を担う、縁の下の力持ちのような存在です。データの収集から整形、保存、運用までを一貫して支えるこの職種は、企業の意思決定やサービスの質を左右する非常に重要な役割を担っています。
本記事では、その仕事内容や必要なスキル、向いている人の特徴、さらには学び方やキャリアの広がり、年収や将来性までを幅広くご紹介しました。これまで「何となく難しそう」と思っていた方も、少しイメージが掴めてきたのではないでしょうか。
データエンジニアの魅力は、技術力を活かしながら現実世界の課題に関わっていけるところにあります。分析に強い人も、設計や構築が得意な人も、それぞれの強みを活かせる多様性のある職種です。
もし「データを扱う仕事に興味がある」「IT業界で手に職をつけたい」「将来性のある分野で働きたい」と考えているのであれば、データエンジニアという道は、確かな選択肢になり得るはずです。
学習リソースも豊富で、未経験からでも段階的に目指すことができます。まずは一歩踏み出して、SQLやPythonに触れてみるところから始めてみましょう。興味を行動に移すことで、新しいキャリアの可能性がきっと開けてくるはずです。
こちらもおすすめ:
ビジネスを変える!データマネジメントのメリットと実践方法
非構造化データ活用で見えてくる価値とは?分析のポイントを紹介!
非構造化データと構造化データの違いとは?初心者でもわかるデータ形式の基礎知識
データ基盤構築とは?企業が押さえるべき基礎知識と構築ステップ
(文=広報室 宮崎)