AIエンジニアの真の役割とは?「実装者」から「価値の定義者」へのシフト

アルサーガパートナーズは、コンサルティングからシステム開発、保守・運用までを一貫して担うDXソリューション事業を展開し、業界・業種を問わずさまざまな課題解決に取り組んでいます。同時に、社会課題や技術の最前線に向き合いながら、これからの働き方や組織のあり方についても探究を続けてきました。
「Arsagaの最前線」は、そうしたアルサーガパートナーズの取り組みと、各分野に精通した社員の知見をもとに、社会とテクノロジーの“今”を紐解く連載です。
第2回は、生成AIが当たり前となった開発現場で、劇的な転換期を迎えている「エンジニアのあり方」を深掘りします。
生成AIの急速な進化により、これまで市場で最も評価されてきた「コードを書く能力」は、もはやエンジニアの価値を証明する決定打ではなくなりました。
AIが一定水準の実装を肩代わりできるようになった今、エンジニアの価値は「何を作るべきか」を定義する構想力へと移行しています。
この記事では、単なる「実装者」で終わる人と、AIを使いこなし「変革者」へと進化する人の決定的な違いを解き明かします。
希少価値の変化:「書けること」より「選べること」

「目的」を見失った開発は、形骸化したシステムを生む
生成AIは、開発の「速度」と「量」の概念を根底から変えました。GitHubの最新レポート(2025年版)によると、新規開発者の約80%が初期段階(1週間以内)からAIコーディングツールを導入しており、もはやAIなしでの開発は考えられない時代に突入しています。
その結果、コードを書くこと自体の希少性は薄れています。どれだけ速くコードを書けてもAIの速度には叶う人は少ないですし、「そもそも何のために作るのか」という目的を見失えば、生み出されるのは現場のニーズを満たさない形骸化したシステムに過ぎません。
参考:GitHub(2025年版)/Octoverse レポートより:開発者の80%がAIを初期活用
「やらないこと」を決める、高度な技術的知見
経営学の父であるピーター・ドラッカーは「最大の問題は、間違った問いに対する正しい答えを出そうとすることだ」と説きました。 どれほど精巧にコードを書き上げたとしても、解決すべき課題の設定そのものがズレていれば、その努力はビジネス上の成果には結びつきません。
これからのエンジニアに求められるのは、顧客のビジネス構造を深く理解し、どこに技術を投入すべきかを見極める力です。「何を作るか」以上に、高い技術的知見を持って「何を作らないか」を冷静に判断できるエンジニアこそが、組織で最も必要とされる人材になります。
参考:ピーター・F・ドラッカー(1964年)/著書『創造する経営者』より
役割の再定義:「AIを使う側」から、「AIで仕組みを変える側」へ

単発の効率化を超え、プロセス全体を再設計する
現在、多くの現場で「AI活用」が叫ばれていますが、単にプロンプトを打ち込んで指示を出すだけの「ツール利用者」のままでは、真の差別化は生まれません。 これからの時代に真の価値を発揮するのは、AIを前提として「業務プロセスそのものを根底から再設計できるエンジニア」です。
「土台」を支える地味で難易度の高い領域
世界的なITリサーチ・アドバイザリ企業であるガートナー社は、2026年の戦略的トレンドとして、AIが開発を増強する「AIネイティブ開発プラットフォーム」を挙げています。これは、エンジニアがコードを一から書くのではなく、AIと共生した開発環境そのものを設計する時代が来ることを示唆しています。
ナレッジの共有方法や品質の統制、セキュリティ、さらには運用の安定性といった周辺領域を含めて、「AIが最も力を発揮できる新しい仕組み」を構築すること。 AIが普及し、実装のハードルが下がるほど、こうした一見地味でありながら難易度の高い「土台作り」の重要性は、かつてないほど高まっています。
参考:Gartner(2026年)/戦略的テクノロジートレンド予測より:AIネイティブ開発プラットフォームの普及予測
生き残るエンジニアの「行動」と「マインド」
議論より実装。泥臭く「打席に立つ」スピード感
日本のIT業界の課題は、検討に時間をかけすぎて実装に踏み切れないスピード感の欠如にあるとされています。その中で、真に価値を生むエンジニアは、綺麗な理論を並べるだけでなく、自ら泥臭く手を動かして「AIで何ができるか」を証明し続けています。
「石橋を叩いて、結局渡れない」のではなく、まずは小さな検証を高速で回す。 この圧倒的な試行回数の差が、確かな知見と信頼に繋がります。
究極のスキルは「顧客をどれだけ愛せるか」
技術が高度化し、AIが作業を代行するほど、最後に残るのは「人間性」です。どれほど優れたAIツールを使いこなせても、「誰の、どんな悩みを解決したいのか」という熱意がなければ、人の心を動かすプロダクトは作れません。
お客様の課題を自分事として捉え、本気で伴走する。 AI時代だからこそ、この「顧客へのコミットメント」こそが、最強の生存戦略になります。
エンジニアの未来:実装者から「経営のアーキテクト」へ

「手段」から解放され、ビジネスの勝ち筋を描く
実装の負荷が劇的に下がることは、エンジニアが「手段」としてのコーディングから解放されることを意味します。これにより、エンジニアの視座は自然と上流へ、つまり「ビジネスの勝ち筋」を描く経営に近い領域へと引き上げられていきます。
経営を動かすエンジンとしての技術
技術をどう活用すれば事業が加速度的に成長し、持続的な価値を生み出せるのか。 この問いに向き合えるエンジニアの役割は、もはやシステム開発の枠に留まりません。業務フローの抜本的な改革や投資判断、さらには企業の経営戦略そのものにまで深く関与していくことになるでしょう。
技術はもはや、単にモノを作るための道具ではなく、経営の舵取りを担う強力なエンジンそのものなのです。
専門家コメント
アルサーガパートナーズ 代表取締役会長兼CTO 小俣 泰明
AI時代になって、エンジニアの価値は「どれだけ速く書けるか」という物差しではなくなってきています。AIは一瞬でコードを出してくれますが、そのコードが本当にユーザーのためになるのか、ビジネスを強くするのかという「最後の判断」まではやってくれないからです。
今、私たちが向き合うべきなのは、技術を使って何を成し遂げたいかという「意志」の部分です。 顧客の悩みを知り、事業を理解したうえで、「だから今、この仕組みが必要なんだ」と自信を持って言えること。 実装が楽になった分、そうやって頭を使う時間にフルコミットできるのは、エンジニアにとって実はすごく贅沢で、面白い変化だと思っています。
ツールに振り回されるのではなく、自分の意志でAIを使いこなし、新しい価値をつくっていける。そんな、本質的なワクワクを追求できるエンジニアが、これからの時代を引っ張っていくのだと確信しています。
アルサーガパートナーズ 代表取締役会長兼CTO
(文 = 広報室 宮崎)
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アルサーガパートナーズでは、社会課題の解決や最先端のIT・AI技術、お客様のDX推進に向け、日々研究と挑戦を重ねております。
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