SFDC資格*17冠のDXコンサルタントがDatabricksを学んでみた  

DXコンサルタントとして従事する筆者が、はじめてDatabricksに触れ、1ヶ月で「Data Engineer Associate」資格を取得した道のりについて語ります。自身の経歴やスキルをどのように拡張していったのか、等身大のコンサルタントのリアルな姿をお届けします。

もしこの記事を読んでいる方の中に、新たにDatabricksを学びたいと考えている人がいたら、少しでも背中を押せたら嬉しいと思います。

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なぜ今Databricksで“スキル武装”するのか? 

コンサルタントとしてDX事業に携わること早2年。かつてOracle DatabaseやSalesforceエンジニアとしてSI案件の上流から下流まで経験し、その知見を活かし、現職では主に製造業や不動産業のSI案件のPMOを担当しています。 

「現場を知らないコンサル」に見られることへの緊張感を常に持ち、技術のキャッチアップは意識していたものの、最後に明確に行動を起こしたのは2023年7月。その時点ですでに2年以上、技術のキャッチアップが停滞していたことに気付きました。 

「これは由々しき事態だ」と頭をよぎった頃、偶然にも上司から「Databricksを学んでみないか?」と提案がありました。あまり知らない領域であるものの、社内案件の動向や、ビッグデータ、AI/ML技術の進化を鑑みると、データ基盤の構築・運用スキルを持つ人材の需要が急速に高まっていることは理解していました。そのため、現場理解を深め、提案力や技術的解像度を高める学びの対象として、Databricksは最適な選択だと確信し、キャッチアップを決めました。

これが私の“Hello, world!”であり、Databricksの世界へ足を踏み入れるきっかけです。 

筆者のこれまでの経歴とスキル 

以下の通り、筆者はRDBMS(リレーショナルデータベース)*の基礎知識や、システム開発に必要なタスクの全貌が大まかに見えている状態からDatabricksのキャッチアップをスタートしました。 

  • 2017年4月~2019年3月: 
    • ソフトウェア商社の技術部にて、Oracle Databaseで発生した障害のトラブルシューティングや、運用・保守におけるQA対応を行うサポートエンジニアを経験。 
    • RDBMSの基本的なアーキテクチャ・機能、運用・保守におけるベストプラクティスを学ぶ。 
  • 2019年4月~2023年9月: 
    • 外資系コンサルティングファームのデリバリセンターにて、Salesforce エンジニアとしてSI案件の上流から下流まで経験。 
    • 要件定義から本番移行に至るタスクを一貫して担当し、複雑な業務要件を満たすシステム開発でのテスト計画・品質担保の重要性や、本番移行で20時間連続勤務をするなど現場のリアルな厳しさを痛感。 
  • 2023年10月~現在: 
    • RDBMSの知識やSI経験を活かし、プロジェクトを俯瞰的に見ることが可能に。 
    • 潜在的な課題やリスクを早期に検知・対処することを得意とし、主にSI案件のPMO支援を担当。

1ヶ月で「Data Engineer Associate」試験に合格した道のり

前述の通りエンジニア経験のある筆者ですが、Databricksは完全なる初学のため、まずは初学者向けの資格「Data Engineer Associate」の取得を目指すことにしました。 

学習期間は2025年10月1日〜23日までの23日間で、総学習時間は50時間前後。試験終了後に「PASS」の文字を見たときは、エンジニアとしての魂が消えていないことが証明された気がして、とても安心したのは今でも覚えています。 

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Databricksから届いた試験合格のメール

効果的だった教材と学習法

すでに他の有識者がブログで公開している情報も多いですが、ここでは筆者が実際に利用し、個人的に効果的だと感じた教材と学習法をご紹介します。 

1.公式トレーニングによる体系的な基礎固め

まず、プラットフォームの全体像とベストプラクティスを理解するため、Databricksの公式トレーニングを受講しました。特に以下のコースは、RDBMSの経験だけでは得られないDatabricks特有の概念を掴む上で役立ちました。

  • Databricks Performance & Optimization 
  • Automated Deployment with Databricks Asset Bundles 
  • Deploy Workloads with Databricks Workflows 
  • Databricks Data Privacy 

2.中核技術である「Delta Lake」の知識補填 

上記の公式トレーニングには、Databricks固有機能の説明が含まれているものの、これまでデータ分析の経験がない筆者には、データレイクやデータウェアハウスとの違いがまだ不明瞭でした。そこで、Databricksを学習するうえで欠かせないデータレイクハウスの中核技術「Delta Lake」を理解するため、「Delta Lake徹底入門」を読むことにしました。

この書籍のおかげで、筆者が持つRDBMSの知識と、Databricksが採用するDelta LakeのACID特性*やスキーマ進化*との根本的な違いを明確に把握することができました。

3.開発タスクの解像度をあげるためハンズオン実施 

1と2の座学だけでは、Databricksで開発を行う際の実践的な作業イメージが掴みきれず、ハンズオンを含む動画コンテンツを探しました。そこで見つけたYouTube動画「Databricks Data Engineer Associate Certification Course – Pass the Exam!」により、Databricksでの開発タスクの解像度が上がりました。

この動画はRDBMSの概要説明から始まるため、データベース初学者であっても理解しやすいと思います。ハンズオンでは、簡単なETL*処理やJobの開発の様子を見せてくれるため、実際の開発タスクの解像度が上がりました。 

4.模擬試験で最終仕上げ 

筆者の経歴やスキルを考慮すると、1〜3までのインプットで十分な知識が備わったと感じたため、あとは試験問題に慣れるために演習を繰り返しました。

Udemyで提供されていた模擬試験(3回分)は、直近1週間以内に投稿されたレビューがあったため、信頼性が高いと判断し即購入。全問正解できるまで3周ほど繰り返し、試験会場に向かう電車の中でもPC片手に問題を解き続けました。 

この模擬試験のおかげで合格できたと言っても過言ではないほど、実際の試験問題に近く、非常に有益なコンテンツでした。最新の非推奨機能等の情報も反映されており、情報の鮮度も優れています。

「基礎体力」が肝。Databricksのキャッチアップが加速する

今回筆者がDatabricksという新しい領域に足を踏み入れ、まず実感したのは、7年も前に習得した「基礎的なデータベースの知識」は、モダンなデータエンジニアリングを学ぶ上で強力な武器になるということです。 

Oracle Database運用・保守を通じてデータの整合性やトランザクション管理の重要性はすでに理解していたため、Databricksで語られるベストプラクティス(例:Delta LakeのACID特性やスキーマ強制*)の必要性がスムーズに腹落ちし、概念理解のスピードを格段に上げられたと感じています。

一方で、試験でもよく問われるDatabricks特有の細かな機能やコマンドを覚えるのは大変で、キャッチアップに最も時間を費やしたと思います。特に、データの取り込み方法は多岐に渡るため、ユースケースと紐づけて覚えることが難しかったです。ただ、ここでもSQLやJavaの知識が活き、「コードを読めば何をしているのか6割程度はわかる」という状態で学習を進められたことは、自身の基礎体力の重要性を改めて実感しました。 

過去の栄光にすがらない。トレンド技術は「覗き見」からキャリアを広げる

正直なところ、エンジニアであってもコンサルタントであっても、ある程度の経験や知見が積み重なってくると、新しい領域をわざわざキャッチアップするのは面倒に感じると思います。かく言う筆者も2年間の停滞期間がありました。 

現時点では、Databricksを「具体的に何にどう活用できるか」が完全に明確に見えているわけではありません。しかし、社内の案件動向や、従来のデータウェアハウスの課題を根本から解決するレイクハウス・アーキテクチャを見れば、間違いなく強力な武器になると確信できます。 

そして、今回の取り組みで最も大きかった収穫は、2年ぶりに技術のキャッチアップに挑戦し、試験に合格できたというシンプルな成功体験です。学習のプロセスで現場技術への理解も深まり、「技術の進化から取り残されていたかもしれない」という不安を払拭し、「現場を知っているコンサルタント」としての新たな自信に繋がりました。 

幸い、Databricksは無料のトライアル環境や充実したオンライントレーニングが整備されています。資格受験まではいかなくとも、一度その世界を覗いてみてはいかがでしょうか。挑戦した事実と小さな成功体験が、あなたのキャリアの選択肢を広げるはずです。 

 <執筆・監修>
アルサーガパートナーズ株式会社 技術ブログ制作チーム

この記事を書いたスタッフ
WAsAbi

WAsAbi

渋谷の片隅で、DXをこっそり企むコンサルタント。

エンジニア歴6年・コンサルタント歴2年・クリエイター歴1年。
この欲張り人生により多角的な視野を手に入れ、特にPMOとしての立ち回りを強みとする。
自然と動物と音楽が好き。モットーは「死んだら骨」。
将来の夢は、自然豊かな町で自給自足を楽しみつつ、SUSHIBOYSの音楽を世界に布教し尽くすこと。