社員インタビュー
人と人の温もりを世界へ発信し、伝統産業の未来を拓く:ワントゥーテン様「ENU」開発秘話
Arsagaブログ
株式会社ワントゥーテンが運営する「ENU(エヌ)」は、様々な価値を継続的に生み出すスペシャリストであるつくり手と、そのつくり手を継続的に応援、支援したいファン/フォロワーをつなぐ、あたらしいファン・コミュニティ・プラットフォームです。2021年現在、SNS機能、ライブコマース、サブスクリプションの3つの機能を軸に、伝統工芸産業を中心とした市場の活性化と発信へ取り組んでいます。
アルサーガパートナーズは、2021年にリリースされたライブコマース、サブスクリプション機能など新規機能開発およびUX・UIのブラッシュアップで伴走させていただいています。今回は両社の開発・運用リーダーに、プロダクトに込められた想いや、サービスを通して解決に取り組む社会課題、そして開発秘話について聞きました。
お客様名 | 株式会社ワントゥーテン URL:https://www.1-10.com/ |
サービス名 | 「ENU」 URL:https://enu.jp/ |
提供内容 | 開発企画戦略、要件定義、新機能開発、保守、運用 |
<プロフィール(写真左より)>
株式会社ワントゥーテン ENU事業部 CMO 山本さん
2021年、ENUの事業責任者としてワントゥーテン社に入社。経営学修士(MBA)取得。マッチングサービス、ファンクラブ・ファンサイト、デジタルマーケティングなどこれまでの経歴を生かしENUの事業拡大を推進。
株式会社ワントゥーテン ENU事業部 黒田さん
「なんでもやりたいことができる会社」という魅力に惹かれ、2018年、ワントゥーテン社に新卒入社。ENUの運営担当として、伝統工芸品のつくり手をはじめとするユーザー対応など幅広く対応。
アルサーガパートナーズ株式会社 執行役員 田中
2016年、創業期のアルサーガパートナーズへ入社。Androidエンジニア、開発ディレクターとして活躍。「ENU」プロジェクトリーダー。2021年7月執行役員へ就任。
目次
伝統産業とプロセスエコノミーをつなぐイノベーションを推進
ーー市川海老蔵さんがアンバサダーに就任し、さまざまなメディアにも取り上げられている「ENU」ですが、提供者としてどのような想いで運用していますか。
ワントゥーテン 山本さん
「ENU」は、つくり手の出会いと物語、ストーリーを共有し、プロセスエコノミーの考え方を以てイノベーションを起こすことをねらいとしたサービスです。20世紀型の大量生産・大量消費社会を経て、価値あるつくり手を輩出してきた伝統工芸産業が衰退しています。このような時代や社会へのアンチテーゼとして、JAPANESQUEの文脈に添い、プロセスエコノミーやつくり手、商品が持つストーリーへの共感を世界に発信していければと思います。
ワントゥーテン 黒田さん
私自身、「ENU」の運用に携わるようになってから、伝統工芸産業へのリスペクトと共感が生まれています。先日、東京都足立区にある額縁作家さんの作業場へ訪問しました。ものづくりの工程や思いにふれることで興味が沸き、周りの方へおすすめしたい気持ちがより高まりました。サービスを運用する中で感じたものを、ユーザーの皆さんにも伝えていきたいです。
アルサーガパートナーズ 田中
プロジェクトがはじまった際に、「伝統工芸産業が衰退しているなかでの盛り上げ方が課題」と伺っておりましたが、私は伝統工芸品に日常的に触れている世代ではなかったため、ストーリーやプロセスを実際に動画で見ることからはじめました。黒田さんがおっしゃるように、実際の商品だけではなく、ストーリーに触れることで、伝統工芸品に対しての愛着が沸きます。時間や想いに改めて向き合うことで、つくり手の方たちがが実際に使いやすいようなUX・UIを伴ったサービスを開発しようと決意しました。
サービスへの思想や共感が選定ポイント
――アルサーガを開発パートナーとして選定いたただいた決め手を教えてください。
ワントゥーテン 黒田さん
さまざまなご提案を各社様から頂いたなかで、「なぜENUを作るのか」「どんな思想のもとつくっていきたいか」をしっかりヒアリングしていただいた過程で、アルサーガ様との開発プロセスやストーリーを想像しやすかったことが決め手です。
アルサーガパートナーズ 田中
開発のご相談を頂いた時点でENUは既にローンチされており、ライブコマースの開発ができる会社を探しているとのお話がありました。そのためご提案時には、当時のENUにライブコマース機能を搭載したUIデザイン案を共有するなど、開発力はもとより私たちとご一緒いただくイメージを思い浮かべて頂けるようよく考えました。また、Webアプリから開発すべきか、ネイティブアプリから開発すべきかの方針が決定されていなかったので、どちらに転んでも開発コストが抑えられるような裏側の設計をご提案しました。
初顔合わせのディスカッションが開発フェーズにつながる成果に
――実際に開発がはじまった際の、アルサーガの印象について教えてください。
ワントゥーテン 黒田さん
一番印象に残っているのは、初顔合わせの際に合宿をさせていただいたときのことです。初顔合わせとは思えないほどの熱量で、細かい部分についても決定できたことが、今思えばポイントでした。それがなければ、今以上に忙しかったと思います。またアルサーガ様は若手の方が多く、仕事が速く、勢いがある印象です。仕事をきちんとしていただくことだけでなく、不具合や予想外のことが起きた時にもその確認、調整作業を迅速にしていただき助かりました。
アルサーガパートナーズ 田中
私もその合宿はとても印象に残っています。コロナ禍でのご提案はオンラインミーティングが多かったのですが、直接お会いして想いをきかせていただいたからこそ、一致団結して機能開発を進めることができました。一方、既に運用が始まっているサービスへの参加になるため、エンジニアからは「ベース機能の読み取りは大変だった」と聞いています。コミュニケーションを取らせて頂く中でそのようなフェーズも乗り越え、非常にモチベーション高く取り組ませて頂いています。
どんなユーザーにもやさしいサービスを提供するために
――UI設計で心がけていることを教えてください。
アルサーガパートナーズ 田中
デファクトスタンダードであるTwitterやFacebook等のSNSを、ワントゥーテン社のみなさまと一緒に触り、それらの機能からヒントをもらうとともに、伝統工芸士さんからのご要望やヒアリング事項を反映しながら、使いやすいものを一緒につくっていきました。
ワントゥーテン 黒田さん
伝統工芸のつくり手の中には、スマートフォンやSNSを日常的に使われない方もいます。そのためシンプルで直感的に操作できることを考えていました。その上で失敗した場所を都度修正していけば良いという考え方をもとに、田中さんと話し合いながら改良を重ねていきました。たとえばリリースの数日後に、文字を大きくしたり、商品バックアイコン、「いいね!」アイコンの修正をしたりなど、細かい部分の改良を続々と加えていきました。
――ライブ配信機能を搭載した際の、バックエンドの技術選定についてはいかがでしょうか。
ワントゥーテン 黒田さん
ランニングコスト、開発工程への影響はもとより、現在も使われ、今後も使われていくことやバージョンアップができることを想定して技術選定をしました。オンプレ、クラウドも含めライブコマースを実現するためのライブ配信ソリューションを比較し、ランニングコストも安く、常にバージョンUPができ、今後、iPhone/Androidの標準化のソフトも使えるという視点で選定しました。
アルサーガパートナーズ 田中
その時点のENUだけではなく、将来のサービスのビジョンに合わせ、最も適した技術を選定できるようお手伝いしました。ご提案にあたり活躍したエンジニアからは、「選定途中で、アプリから配信するか、ブラウザから配信するかという議論があり、アプリで配信することが決定した際に、配信ソリューションを再度よく検討した」と聞いています。
アプリ審査のリジェクト0回を実現するための「サービスとリスクのバランス」
――アルサーガの社内では、「ENU」のリリース時に、リジェクト0回でアプリ審査に通ったことが話題になっていたんですよ。
ワントゥーテン 黒田さん
リジェクトされるリスクと、サービスで実現したいことを天秤にかけ、サービスを優先したい中でも、リジェクトされるリスクを最大限回避するために、田中さんと細かい調整を何度もさせていただきました。その細かい詰め作業が、リジェクトがなかったキーファクターです。またApple側の規約に変更があり、最後まで気が抜けない状態もありましたが、アルサーガ様の開発チームのご尽力のお陰かと思います。
アルサーガパートナーズ 田中
これまで受託したライブ配信の開発プロジェクトで、リジェクトを受けた経験は何度もありましたので、絶対にリジェクトされないように事前準備をしていきました。またアプリ審査では、品質も評価範囲に入るため、ベースのシステムを大きく変えずに改善できるポイント、たとえばストーリーの読み込み速度など、主にUXの部分を改善しました。
――今後、ENUを通して達成したいビジョンを教えてください。
ワントゥーテン 山本さん
プロセスエコノミーの啓蒙をより拡大していきます。そのため今期に関しては、基本機能をもう少しブラッシュアップすると同時にキャンペーン、PRを通したtoC施策を強化していきます。さらに、API連携等、企業様にも使っていただけるようなカタチにもブラッシュアップしていきたいですね。
実は以前、EC事業を運営していたときの経験として「こだわり抜いたものは儲かりにくい」という課題に直面したことがありました。しかし今はスマートフォンの普及と技術の革新に伴い、課題を乗り越えられる可能性があると思っています。日本の伝統工芸のつくり手の方が得意ではない発信をサポートすることで、日本の良さを世界に広めます。
ワントゥーテン 黒田さん
今、ENUをお使いいただけるつくり手の方を増やしていくために、弊社メンバーを中心にENUを広める活動を全国で展開しています。ENUが消えてしまいそうな伝統文化を救う一つのソリューションになれたらと思います。そのために、アルサーガ様には末長くお付き合いいただきたいと思っております。
アルサーガパートナーズ 田中
開発当初から、ワントゥーテン様がENUに懸ける思いを伺っていたので、その思いに伴走します。市場が活性化することはもちろん、ENUを通じて伝統工芸のお仕事をつないでいく方が増えるようなサービスを一緒につくっていきたいです。
ENUはどんな場所?
――最後に、ENUは一言で言うとどんなサービスか、ワントゥーテン様を代表して黒田さん、そしてアルサーガ田中さんに聞ければと思います。
ワントゥーテン 黒田さん
ENUは、「人と人の温もりを繋げる場所」です。つくり手さんと私たちの出会いの場所でもあれば、つくり手さん同士の出会いの場所でもあり、ファンの方、ユーザーの方に知ってもらえる場でもあり、その出会いによって生まれたいろいろな温かいものが繋がる場所だと思っています。この温かさが、もっと世界に広がっていけばいいなと思っています。
アルサーガパートナーズ 田中
「ストーリーが生まれる場所」です。伝統工芸品が作られた過去の背景やストーリーだけではなく、応援するファンの方たちがいるから、今後のストーリーが紡がれていきます。そんな場所を作るお役に立てればと思い、この言葉を選びました。
――お二人とも「~場所」でまとまっていて、奇跡的なものを感じます。
ワントゥーテン黒田さん、アルサーガ田中:偶然です(笑)
――本日はありがとうございました。
アルサーガパートナーズは、ライブ配信に強みがあり、開発戦略~実装、保守運用までをワンストップで対応可能な開発会社です。お問い合わせはこちら。
(取材、文=広報室 松村、宮崎/写真=システム本部 服部)