Yui Connection株式会社 / 小中学校学級経営支援システム
2022年8月に設立されたYui Connection株式会社(ユイ・コネクション、以下 Yui Connection社)は塩野義製薬のグループ会社で、小中学校の教員向け学級経営支援サービス「結-EN(Yuien)」(以下、「結-EN」)を提供しています。アルサーガパートナーズは、こちらのサービス開発に携わらせていただきました。結-ENプロジェクトの構想・企画段階から、結-ENプロジェクトをご担当されているYui Connection社の船木様にお話を伺いました。
お話を伺った方
Yui Connection株式会社 サービス事業部長 船木 智子様
(写真左より アルサーガパートナーズ 執行役員・田中、Yui Connection 船木様)
課題
・最初に作ったプロトタイプがユーザーフレンドリーではなかった
・教員の方々は多忙である
・教員の年齢の幅が広く、ITリテラシーに差がある
課題に対するアルサーガパートナーズの対応
・実際に利用する教育現場の人へのヒアリングなどを充分に行った
・UXの設計から、UIも直感的に使いやすいものへと改良した
・デザインは児童生徒をイメージしたグリーンをベースとした優しい色合いにした
・印刷機能や指導履歴の記録などの新しい機能を追加した
リリース後の成果
・マニュアルを見なくても、利用できる分かりやすい仕様になった
・導入後は継続して使ってもらえるサービスになった
・アクセスログ(使用ログ)が継続的に伸びている
・教員より、児童生徒への理解が向上したという声をいただくようになった
デジタルを活用したヘルスケアへの挑戦
結-ENを提供するに至った背景
結-ENは、塩野義製薬が従来の医療用医薬品を提供する「創薬型製薬企業」から、薬だけでなく、予防・ヘルスケアサービスまでを網羅する「HaaS企業(HaaS:Health care as a Service)」へ変革するとして中期経営計画に掲げた活動の取り組みの中で誕生したサービスであり、現在は、塩野義製薬株式会社のグループ会社であるYui Connection社が小中学校の教員向け学級経営支援サービスとして全国の自治体、私立小中学校へ提供しています。
結-ENは、教員が児童生徒一人ひとりに向き合うことで児童生徒理解を深め、結-ENを共通言語にすることで教員同士が支え合う土壌づくりをサポートするユニークなサービスです。
結-ENはすでにサービス提供が開始されており、2022年12月現在、複数自治体の20校以上の小中学校で導入されています。結-ENは、教員が児童生徒について、身体面・情緒面・生活面・学習面に関する82項目の質問に答えることで、児童生徒一人ひとりの様子を見える化し、入力されたデータに基づき個々に適した指導プランが自動で提供されるサービスです。教員は一人ひとりの児童生徒について、何が原因となって、学校でどんな状態になっているのかを把握できるうえに、適切な指導プランが提案されるため、日常の学級経営の中で対応すべきポイントを把握することができます。
「例えば、学校で児童生徒が抱えている困りごとは、日常の環境に起因することもあります。先生方が子どもたちの「今」の状態を把握し、その時、その時に適した学級や学校での教育環境を整えることで子供たちが生き生きと過ごせるようになる。それこそが結-ENが提供する「ヘルスケア」につながると考えています。」(船木様)
教育現場の多様化する社会課題を解決したい
解決したい社会課題
教育現場の課題として昨今取り沙汰されているのが、教員の業務量の多さです。教員への負担増が、学校の教育環境に影響することは容易に想像できます。さらに教員不足も指摘され、その深刻さは増していると言われています。結-ENは、教員が児童生徒の学校生活の観察を通して教育ニーズを見える化し、一人ひとりの児童生徒に適切な教育プランを教員に提案することで、個別最適な教育の実現と、教育現場のリソースの効率化の両方に貢献するサービスです。教育現場の環境の向上が、教員および児童生徒のヘルスケアに繋がることに期待しています。
「結-ENを通して、新任の先生方は児童生徒理解の視点を早くから養うことができます。また、先生同士の共通認識により、同じ視点をもって生徒に対応できる様になるので、学級や学年を超えた情報共有が容易になり、学校全体で子供たちを見守ることができます。先生方一人ひとりの円滑な学級経営が可能となるだけでなく、結-ENを通した学校全体での取り組みとなるため、教員不足の解消や業務負担の軽減にもつながるというメリットがあります。」(船木様)
▼結-EN サービスイメージ図
多忙な先生方にユーザーフレンドリーなサービスを提供したい
UXとUIを工夫して、使ってもらえるサービスへ
教育現場の課題としてもう一つ挙げられるのが、学校間や教職員間において、ITリテラシーに差があることです。教員の方々の年齢層も幅広く、教員同士、教員と保護者の間の情報のやり取りなどもまだアナログな部分が多く、教育現場のITリテラシーは高いとは言えないのが現実です。
「学校に試験的にプロトタイプを導入して頂いたのですが、新しい慣れないシステムを多忙な先生方に使っていただくのはとても困難でした」(船木様)
そのためにもシステムとして情報を入力するだけでなく「マニュアルを見なくても使えるサービスを開発したい」という想いを一番に掲げてサービス開発に取り組まれたということです。数社に提案をしてもらったところ、アルサーガパートナーズからのモックは、子どもたちの事をイメージしたグリーンベースのデザインで、画面設計もユーザビリティが高く、直感的に操作の仕方がわかりやすいものだったので、社内や学校からも評判がよく、アルサーガパートナーズに開発を依頼することになりました。
ユーザーのヒアリングから伴に歩んだパートナー
アルサーガパートナーズを選んだ理由
アルサーガパートナーズに決まってからは、まずはどうやったら教員の方々が使いやすくて、価値を感じてもらえるサービスになるかという要件定義から一緒に考えはじめました。そこで、実際に使う学校の先生に、登録からの手順を含む実際の業務フローや、年間のイベントなどを一つひとつヒアリングしながら、こういう時にはこんな機能や項目が必要だとか、操作のしやすさなどを考えながら創り上げていきました。
「一緒に要件定義に落とし込んでいく中で、ユーザーの事や現場の状況も把握しきれていなかった事に気づきました。アルサーガさんは、単にサービス開発をするだけでなく、結-ENサービスを共に考えて発展させてくれたパートナーです。特に、UX/UIの改善にとても力をいれて開発していただきましたが、単純に見た目が変わっただけではなく、学校の先生に協力いただいて、先生方の意見を盛り込んだからこそ今の結-ENができました。みなさんのご協力がなければこの結-ENは存在しなかったと思います。」(船木様)
実際、マニュアルは用意しているのですが、ほとんどの方がマニュアルを見なくても作業できているという嬉しい報告も、教育現場からいただいているようです。さらに、UX/UIの改善だけにとどまらず、印刷機能、1年毎のPDCA記録、指導履歴の記録など、新しい機能も追加されました。
一度導入したら使いつづけてもらえるサービスに
今後の展望
導入をいただいている学校からは、使い勝手の改良だけでなく、児童生徒理解の大切さを現場の方に理解していただけたのか、サービスを改定して以降は継続して利用してもらっており、解約されるお客様は現段階ではいないということです。他にも、結-ENを導入したことで教育環境に良い変化があったという報告も多数あるようです。
「多忙な先生方にも簡単に使っていただけるシステムを作ったアルサーガパートナーズはすごい!と社内でもビックリしています。システムへのアクセスログも順調に伸びています。サービスを開始してから間もないですが、学校の教育環境が改善されるというお声を先生方から多数いただいております」(船木様)
Yui Connection社にとって結-ENは、最初のサービスですが、子供達が教育、就職、社会人へと成長する各シーンにおいて付加価値を感じていただけるようなサービス開発を継続していくとで、すべての人々が活躍できる持続可能な社会の実現に貢献していかれるとのことです。
結-ENは、トライアルプランがあるので気軽にお試しいただくことが可能です。
詳細、お問い合わせは以下よりお願いいたします。
■結-EN ホームページ:https://yui-connection.com/service/
参考資料
・資料1 令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果 (mext.go.jp)
・教師不足に関する実態調査 (mext.go.jp)
(文:広報室 海藤)